オリジナル小説、日常生活についてなど。
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「あ、」
「お。何だ、おまえも今帰り?」 特徴的な八重歯を見せながら笑って、君は頷いた。 ああ、なんて愛らしい想い人。 ああ、なんて悩ましい片思い。 「おまえさ、帰宅部じゃなかったっけ?」 上靴を脱ぎながら、平然を装い話しかける俺は超カッコ悪いと思う。 「委員会、長引いちゃってね」 隣で靴を履き替える君。 茶色のローファーになぜかときめいている俺。 君を好きになったキッカケとか、今ではあまり鮮明に思い出せないけれど。 特別美人なわけでもなく。 男子からモテるわけでもなく。 少し地味で、大人しい君。 でも良く聞けば透明感が溢れる柔らかい声に、 音楽の授業、合唱の時間はドキドキが止まらない。
ふわふわしていて、甘い君。 真っ白な綿菓子のような君の唄。 「おうち、どの辺だっけ?」 「バス停からちょっと行ったところ」 「ほんと? 私の家、バス停のすぐ手前だよ。意外と近いんだねー」 無垢な笑顔の愛し君。
こんなチャンス、もうないと思ったんだ。 だから、無い勇気を振り絞って言ったんだ。 「マジで? なら途中まで一緒に帰るか」 出来るだけサラッと言うために頑張った俺は、超ダサいと思う。 うん、とまた八重歯を見せて笑う君は、やっぱり綿菓子のように白かった。 いつか、並んで帰ることが当たり前になることを夢見て。 君の隣をゆっくり歩く、ダサい僕。 PR |
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